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長い夜

500mlのペットボトルの水と非常用のクラッカーをいただく。
昼食以降なにも口にしていないが、のども乾かなければおなかも空かない。
口中の水分を奪われそうなクラッカーを食べる気もしなかったが
家族で一袋だけ開けて食べる。


ラジオの音が流れる薄暗い部屋は
ストーブのおかげと着込んでいるせいで
寒くはない。

手持無沙汰の時間が流れる。


今流行のオープンスペースの学校で
学年共通の広いスペースに、
間仕切りのない教室が4部屋で一学年分。
ストーブはオープンスペースの一角にあるが、
各教室にゴザが用意されているので
各々横になっている。


我々も寝場所の確保をすることにして一番奥まで行くと
近所の友人がいた。

我が家の子供たち3人がその昔お世話になったピアノの先生でもある友人一家は
高校教師のご主人が東京出張中に被災し
子ども3人を連れ、4人で避難してきていた。
ここのご長男は息子の中学の部活の一つ先輩でもあり、
お互い子供たちが行き来して遊んだ仲なので
リラックスムードになる。
避難所にいる間中お互いの存在がずいぶんと助けになったと思う。



さて、毛布が配られ始めたようだ。
陣取った場所が一番奥なのでのんびりともらいに行くと、すでに一回目の配布を終えていた。
また次が来ます、と伝えてくれた配布担当のおしゃれなイケメンの若者に見覚えが・・・と思ったら
息子の中学高校の先輩で、卒業したての高校3年生でもある二人だ。
ああ、そうか。彼らは早速手伝いを買って出ているわけだ。さすが。

嬉しかったのは、これにすぐうちの息子が反応、
「俺も手伝ってくるわ」
と次の瞬間には歩き出したことだ。

息子はピアノの先生のうちのご長男とともに、この後暗闇の中を続々とやってくる避難者の誘導を手伝ったらしい。誘導灯を手にした息子たちは楽しそうですらあった。
余震は続いているけれど、怖がってばかりもいられない。やれることをしなくちゃね!

ここでなかなか懐かしい方々にあったようだ。スポーツ少年団でサッカーをしていた時の監督や、小6の時の担任で人生を通して一番大好きだった山崎先生。先生は今もここの小学校にいらしたわけだ。



親の百万の言葉より、
先輩の後姿のほうが
何よりの刺激であり、原動力である。


二人のイケメン先輩に感謝したい。
(ちなみに、彼らはそれぞれ東大と筑波大の受験生であった。
筑波の彼は浪人が決まっちゃった、と言っていたけれど、東大の彼はどうだったかわからない。東大の彼はおばあちゃんを連れて避難してきていたのだが、不安がるおばあちゃんに「ばあちゃんのことは俺が守るから心配するな」と優しく話していたのをうちの娘が聞いていたらしい。なんかもう、かっこよすぎでしょ~)
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どぼちょんぱぱ

予想もしていなかった天災にあっても、すぐに行動を起こせるかどうか。
重要ですね。寒さも大変ですが、これから夏場に向けても大変だと思いますが、ふんばっていきましょう。
by どぼちょんぱぱ (2011-05-15 16:47) 

楓〇

ふむふむ。うんうん。
クラッカーも水も口にする気がしないのは、冷静なつもりでもかなり緊張していた証拠でしょう。そんな中、知り合いの顔が見えるというのは、安心ですよね。

私事ですが、これから繁忙期に突入でnice!のみの訪問になってしまうかもしれませんが、変わらず訪問させていただきます。

梅雨、夏場も大変だと思いますが、私は身を粉にして働くことで微力ながら東北、日本の一助になればと考えております。
ふんばれ!東北!!!

by 楓〇 (2011-05-16 13:09) 

500円

どぼちょんぱぱさん

沿岸部でこれからの暑さはより深刻です。。。
不明の方もまだまだ多く、本当に大変なことだと思います。
我々には普通の日常が戻っているのですが、
何とも言えない罪悪感を感じてしまうというのは否定できません。私たちにやれることをやるしかありません。


楓〇さん

緊張、というよりは興奮状態、というほうがあっていたかもしれませんが、こんな私でも食欲がなくなるんだわと自分でも思いました。
それに、暗闇の中トイレに行くのもいやですし、セーブしちゃいますね。(これがよくないこととわかっていても)

お忙しいのに、いつもありがとうございます。
どうぞ、お気遣いなく!
私も今は皆さんのところにお邪魔する余裕がありません。
(読み始めたら夢中で読み出しちゃいそうですし!)

とりあえず記録を残しておこうと思って時間を見つけ書き綴っています。この時に体験したことを自分なりに忘れないようにと、ただそれだけです。
どうか皆さんもお気遣いなく!
by 500円 (2011-05-19 12:41) 

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