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並ぶ

被災地で物を入手するには何事によらず並ぶこと。
これがすっかり身についた。
行列、待ち時間、当たり前。昔のソ連みたいだ。

「行列がないと、え?並ばなくていいの?、って思うようになったよね。」

まゆみさんが言う。
ロシア人か!と、突っ込む。




被災後初めての朝、
避難所で有難い朝ごはんをいただいた後、
娘と息子は
とにかく何でもいいから、お店が開いていたら食糧を仕入れる
という使命を帯びて出かける。
今思えば、その時が行列要員の始まりだった。


さて、
我々夫婦は事務所と自宅の片づけ。

生活の糧である仕事場の復旧は急がれる。
手の施しようがないほどの惨状、
と思っても
千里の道も一歩から、
一冊一冊の本、
1枚1枚のCD、
1つ1つのファイルボックス、
そうやって片づけていけば、
ちゃんと片付く。
もちろん、駄目になったものもたくさんある。
うかつだったのが
冷蔵庫の停電で昔ながらの1ドア冷蔵庫の冷凍コーナーの霜が溶けて
床にあふれ、一部の書類を濡らしたこと。

水は憎らしいが、同時に大切な存在でもあり、
この時は床の水を布巾で吸っては器にためて
捨てずにトイレのタンクに入れた。
ジャコバサボテンとカランコエにもあげた。
一滴だって無駄にできない。


今回シャッフルされてめちゃくちゃの家を見て
「よし、この際だ、断捨離しよう!」と思ったものだが
いざ片づけ始めると捨てる判断をしている暇がない。
多分、いちいち悩む時点で断捨離の精神を忘れているわけだが、
とにかく、足の踏み場を確保したいし
とりあえず!と片づけてしまって、むしろ収納的には退化したくらいだ。

食器棚が倒れた友人は
「捨てる決断のつかなかった使わない食器が一気に片付いた」
と言っていたし、賢い人はずいぶんこの機に整理したんだろうなあ。



子ども達が戦利品を手に帰宅する。
といってもお腹にたまるようなものはなく、
普段手を出さないようなスナック菓子とか、歯磨きできないからガム、とか、
野菜不足になるからビタミン飲料、とか。
なぜかイチゴジャムを買っている。

「これ、どーすんの?」
娘に聞くと
「知らん。耕周が買ってた」
と。


だけど、これ、実はご英断でした。

後ほど非常用クラッカーや配給されたパンをいただくときに大いに役立った。
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どぼちょんぱぱ

前向きに考えると、色々と生き残る為の知恵も増えたということでしょうか。

by どぼちょんぱぱ (2011-05-21 14:10) 

500円

どぼちょんぱぱさん

ライフラインの途絶は工夫する気持ちを生みましたね~。今後にも生かしたいです。


あんぱんち~さん、意馬心猿さん

有難うございます。
by 500円 (2011-05-22 05:15) 

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